『わたしたちが孤児だったころ』

カズオ・イシグロ『わたしたちが孤児だったころ』を読む。フィクションを読んだのは久しぶりです。人間年を取って小うるさくなってくると素直に小説など読めなくなってくる、などと思ったり。しかしこの作品はちょっと面白く読みました。
あらすじはリンク先にも書いてあるので簡単に。
▼主人公が子供時代を過ごした上海で、アヘン関連会社で働いていた父と、アヘン撲滅運動に参加していた母が相次いで姿を消す。
▼主人公はイギリスへ帰国し、長じて探偵になる。数々の事件を解決して社交界でも知られた存在になるが、父母の事件が念頭を去ることはない。ついに十分な証拠を手に入れたと考えた主人公は、養女に迎えたジェニファーをロンドンに残したまま、日中の砲火飛び交う上海を再訪する。
▼同地で彼は、イギリス時代から思いを懸けていた女性と再会。事件を放って彼女と逃避行へ出ようかという時、父母の消息の手がかりを得たと信じた彼は、監禁場所と思われる地点へ赴く。途中で子供時代の友人アキラ(今は日本兵)と出会い、同道する。
▼苦労して目的地にたどり着くも、父母は居ない。そこへ日本兵が押し掛け、主人公はアキラと別れ、イギリス領事館へ保護される。
▼領事館で彼は、事件のカギを握る人物「イエロー・スネーク」と連絡が取れたと知らされ、会いに行く。それは主人公の子供時代の知人で父母の友人、フィリップおじさんだった。主人公は彼から事件の真相を知らされる(父は愛人と逐電。母は、主人公への送金を条件に、中国人マフィアの妾にされた──それにはフィリップおじさんも手を貸した)。主人公は「殺せ」と言うフィリップおじさんを顧みず、改めて母を捜すことを思う。
▼20年後、香港の施設で母を見いだすが、心を病んだ母は主人公のことが分からない。母を残して主人公は帰国。離れてくらすジェニファーと互いに思いやりつつ、かつての影のような生活を送る──。
あんまり簡単でなくなってしまいました。感想はまた後で。