2005-01-01から1年間の記事一覧

イサム・ノグチ展

東京都現代美術館で見て参りましたが。体調もあまり良くなく、予備知識も全然無く(野口米次郎の子供だということくらいしか知らない……)、何となく見ただけになってしまいました。呼び物の「エナジー・ヴォイド」はたいそう大きうございました。あれを運ぶ…

舞城王太郎「バット男」(承前)

バット男とはバットを抱えて調布の町を出歩く、みすぼらしい男のこと。何かあるとすぐにバットを振り回すが、実際にそのバットが何かに対して振るわれることはなく、むしろ悪ガキどもに奪われてバット男自身が殴られるのが落ちだ。それを「僕」はただ傍観し…

舞城王太郎『みんな元気。』

「バット男」のことを書く前にこちらも読み終わってしまいました。こちらも短篇集。舞城作品らしく、どれも暴力的かつ感動的で、前向きに肯定的。読んだ印象は似通ってはいますが、中では「スクールアタック・シンドローム」が面白うございました。小説のラ…

舞城王太郎『熊の場所』

しばらく読書というカテゴリが出てきませんでした。二男が生まれてから、本当に読書のペースが落ちたから──と思っていたのですが、今も大して生活は変わらないにもかかわらず冊数だけは増えつつあります。バフチン『ドストエフスキーの詩学』を読むのに時間…

佐伯祐三展

今日は中村橋の練馬区立美術館でやっている「佐伯祐三展」へ。「サエキけんぞう?」と言った人がいますがそれは別の人。 中村橋もこの美術館も初めて。駅から2分もかからない場所でした。建物を見た最初の印象は「でかっ!」。渋谷区の松濤美術館ほど「金が…

18世紀のハイパーリアリズム

6日のことですが、国立西洋美術館でやっているドレスデン国立美術館展へ行って参りました。お目当てはむろん写真のフェルメール「窓辺で手紙を読む若い女」ですが、面白かったのはバルタザール・デンナーという18世紀のドイツ人画家の肖像画。しわの寄った…

舟遊びの昼食

六本木ヒルズのフィリップス・コレクション展へ家族みなで行ってきました。個人のコレクションをもとにした美術館からの展示なので、理屈が少なく肩の凝らない展覧会。点数も60点ほどと疲れずに見られる数で、2人の子連れに丁度ようございました。 今回の呼…

ベルリン博物館島

上野の国立博物館で開かれている、世界遺産・博物館島 ベルリンの至宝展へ行ってきました。監獄島みたいなたいそうな名前ですが、川の中州の島とのこと。絶海の孤島だったら誰も見に行けませんものねー。 ボッティチェリのビーナスのタブロー(というか、つ…

舞城王太郎『阿修羅ガール』『世界は密室でできている。』

文庫化された舞城王太郎を2冊。今は図書館で借りた『好き好き大好き超愛してる。』を読んでいますが、読み終えた2冊の方から簡単に。 『阿修羅ガール』はそれなりに傑作です。感動的です。まあ、正直に言うと私は何にでも安易に感動してしまう方で、「一杯…

木田元『偶然性と運命』『新人生論ノート』

福知山線のJR事故のニュースを見ていると、大惨事の起きた1両目、2両目に乗っていた場合でも、わずかな立ち位置の違いが生死の運命を分けていることに憮然たらざるを得ません。人はそれを、死者にとっては不幸な偶然と考えるかもしれないし、自らの手の…

宝塚「エリザベート」

昨日の話ですが、見てきました宝塚月組「エリザベート」。奥さんが好きになったのに付き合って5年ほど前から見るようになった宝塚ですが、今度花から月に組替えしてタイトルロールのエリザベートを演じる瀬奈じゅんさん(アサコとも呼ばれる)が結構好きだ…

ルーブル展

横浜美術館のルーブル展へ行って参りました。障害者手帳のおかげで妻ともども無料で。助かります。横浜まで行くと交通費もバカにならないですし。 で、これが目玉のアングル「トルコ風呂」ですが、どういう室内に人がどのように配置されているのか、じっと見…

榎倉康二展、ほか

バイトで校閲をやっている雑誌が28日に入稿が済んで、「よっしゃ久しぶりに展覧会でも行こ」と思ったのが1日のことですから、もう3日前のお話です。しかし今は展示の端境期なのか、今ひとつメジャーな企画がなく、ま、それならそれなりにと久しぶりに木場…

舞城王太郎『煙か土か食い物』

子どもの水ぼうそうに端を発するように家中が体調不良に見舞われて、私もこの前の日曜日くらいから胃腸を壊し、ようやくここ一両日で快復しました。ご飯をきちんと食べられるというのは改めてうれしくもありがたいことでございます。食べること自体好きです…

小西行郎『赤ちゃんと脳科学』

育児本というのはあまり読んだことがありません。漫画家のエッセーみたいな本は別として。まあ、雑誌や新聞で書いてあることで大体おなかいっぱいという感じでしょうか。育児についてはみな思い思いのことを書いたり言ったりしているようにも見え、どれも話…