18世紀のハイパーリアリズム

ekatof2005-09-09

6日のことですが、国立西洋美術館でやっているドレスデン国立美術館展へ行って参りました。お目当てはむろん写真のフェルメール「窓辺で手紙を読む若い女」ですが、面白かったのはバルタザール・デンナーという18世紀のドイツ人画家の肖像画。しわの寄ったお年寄りを描くのを得意としたという画家は、この展覧会でも2枚の老女のタブローが展示されているのですが、うち1枚(「すみれ色のスカーフを被る老女」)がすごい。モデルの瞳にピントを合わせて、しわから何から微細に描きつつも周囲に及んで徐々にソフトフォーカスしてゆく手法は、まるで写真としか思われません。キャンバスではなく銅版に描いているので、質感も絵よりは写真に近い。衣服の毛皮のふわふわした感じはあまりにリアルだし、ちょっと階調を飛ばした感じのスカーフの光沢はデジカメの写真と見まごうばかり。ハイパーリアリズムの「ハイパー」とは過剰さを指しての言葉でしょうけれど、このデンナーの絵も間違いなく過剰にリアル、というか過剰に「写真そっくり」。展示されていたのとは別の絵ですが、エルミタージュ美術館のこの作品がやや雰囲気を伝えています。→http://www.hermitagemuseum.org/fcgi-bin/db2www/descrPage.mac/descrPage?selLang=English&indexClass=PICTURE_EN&PID=GJ-1326&numView=1&ID_NUM=1&thumbFile=%2Ftmplobs%2FCS5VPWHQR16KBZFO6.jpg&embViewVer=last&comeFrom=quick&sorting=no&thumbId=6&numResults=1&tmCond=Denner+Balthasar&searchIndex=TAGFILEN&author=Denner%2C%26%2332%3BBalthasar
お目当てのフェルメールも素晴らしうございました。陳腐な言いぐさでしょうが、絵自体が柔らかく光を放っているような、不思議な絵でした。以前の「画家のアトリエ」と合わせ、1年ばかりの間にフェルメールを2枚も見られるとはラッキーなことです。