ルーブル展

ekatof2005-04-24

横浜美術館ルーブル展へ行って参りました。障害者手帳のおかげで妻ともども無料で。助かります。横浜まで行くと交通費もバカにならないですし。
で、これが目玉のアングル「トルコ風呂」ですが、どういう室内に人がどのように配置されているのか、じっと見るとわかりづらいです。手前の数人は高い所に座っているのかしら? してみると下の床は手前に向かって傾いているようにも見えます。つるつるとした磁器のような人肌の表現はまさしくアングルで、塗りの技術は謎の領域と思われるほどの作品ですが、人の配置については悩まされます。
展覧会の中心は、このアングルに加え、ドラクロワジェリコーとフランス近代絵画のストライクゾーンど真ん中という方々の立派な作品です。
ダヴィッドの工房の「マラーの死」もありました。歴史の教科書や資料にも出る有名な絵です(もっとも、今回出ていたのは複製(といっても工房は同じなので限りなくオリジナルに近い)のようですが)。この種の絵を見るとどうしても「これがあの有名な絵か」という見方になってしまって、色や形の楽しみは二の次になります。絵として見ようとすると、マラーの手紙を持っているポーズもわざとらしいし、だいたい風呂で手紙なんか書いたら紙がぬれるじゃないか!と、つい余計なことを言いたくなります。まあ、ドラマチックに仕立ててあるのは、この絵が芸術と言うよりむしろ一種のメディアであることを物語るわけで、けっして罪なことでは無いのでしょうけれど。
ドラクロワジェリコーの立派な絵よりも魅力的だったのはコロー。「西洋美術史」(美術出版社)にも載っている「ティヴォリ・ヴィッラ・デステの庭」も来ていましたが、ちょっとした風景画も魅力的でしたし、「泉水のわきにたたずむギリシア娘」なんて取るに足りないような題材の絵が良うございました。薄い塗りでポヤポヤとした木の葉の描写などに心和みます。ダヴィッドからコローへという変化は、購買力のある層の移り変わりも実感させるものです。「ナポレオンの戴冠」みたいな絵をプチブルが家に飾るわけにはいきませんからねー。
全体的にボリュームのある絵が多く、フランス革命印象派以前の雰囲気を味わうにはよい展覧会だったのではないでしょうか。ちなみに1歳8カ月の息子は、ジェリコーの馬の絵などを指さして「アッ、アッ」と喜んでいたそうです。お馬さんだって知ってるわけだ(^^; えらいねー。