宝塚「エリザベート」

昨日の話ですが、見てきました宝塚月組エリザベート」。奥さんが好きになったのに付き合って5年ほど前から見るようになった宝塚ですが、今度花から月に組替えしてタイトルロールのエリザベートを演じる瀬奈じゅんさん(アサコとも呼ばれる)が結構好きだったりして(素の顔が可愛いししゃべり方もまじめそう。一人称が「オレ様」というのも良い)私自身見たかったということもあるのです。いつもは男役の瀬奈さんが女性のエリザベートを演じるというのが見どころというか話題(トップの彩輝直の退団公演でもありますが私には関係ない話です、というか興味がない)。女が女を演じるのに何も不都合あるまい?という気もしますが、結構不都合あるのです。男役はそれなりにたくましい体格になっている場合が多いので、露出の多い服を着ると筋肉が浮き出たり肩幅が広すぎたりとか。
で実際に見たアサコさんは、きれいな娘役に比べればやっぱりちょっとなあ、という感じではありましたが、それなりにまとまった外見で、歌も練習の跡がうかがえて(フィナーレの大階段では地声になっていましたが)十分に好感の持てるエリザベートになっていました。まあでも正直言って、アサコさんは男役の時の方がええわい、格好いいし、という気がしたのも事実。次からは男役で主演でしょうから、一公演に一度くらいは見に行けるとよいですね。芝居の内容や演技・歌・ダンスの水準自体は今ひとつということも多くて、前に某国会議員が「学芸会」と評したのもゆえなしとは言い切れないわけですが。ただ一方で、宝塚はただのエンターテインメントと言うよりは、学芸会的に個々の演者の「練習を頑張った」「こんなに成長した」とかいう物語で充満しているところがあって、かつ少なからぬ観客がそれを読み取ることができてしまっているので、「詰まらない」「レベルが低い」等の批判は無意味ではないにせよ、的の中心を射るものとはなり得ないわけです。舞台だけが宝塚ではない、ということでせうか。詰まらなければ皆、いかにひどいかをネタにして楽しむ世界でもありますし。
そういえば前に阿部和重が「最近は宝塚に興味がある」みたいなことを言っていましたが、ちゃんと見に行っているのかしらん。案外はまって誰かのファンクラブに入って、その誰かを主演させるために新しい小説を書き下ろしたり──はしないでしょうね。宝塚でやるような小説を書く人ではありませんから。物語の舞台が現代の東根、ではお話にならないようです、やはり。