もうすぐ公示

衣食足りて礼節を知る。辞書によれば「栄辱を知る」が正しいようだが、いずれにしても意味は同じ。物質的に満たされてこそ、名誉や礼儀を重んじることができるようになるということだ。日本はとっくにそんな段階は過ぎていたと思っていたところ、あちこちにほころびを見る今日このごろ。10代の娘をネットカフェに住まわせて送金をする母親の記事を新聞で読み暗然とする。本人がネットカフェに住む「難民」の存在は数年前から知られているが、とうとう影響は子どもにまで及びつつある。ストリートチルドレンまではあと一歩。
その一歩を押しとどめるのが政治の仕事だろう、ということで迎えるこの冬、総選挙だ。国防軍だ何だとカッコイイことを言う政党もあるが、まず確実に子どもが飢えないような国造りをする政党はどこか。もはやそこから考えていかなければならない。
ところで話題の第三極。「日本未来の党」は小沢一郎氏が思い切って引退すれば、それなりに受け皿になり得たかもしれないと残念だ。嘉田由紀子滋賀県知事は学者上がりだがやり手のようで、丸っきりのかいらいにはならないと思うが……。「卒原発」は全くその通りなのだが、道は険しい。どうなることやら。
一方で維新の会。候補者に討論会などに出ないようお達しが出たとのこと。維新の名前だけで投票しろと言うのはすごい。政策なんて橋下徹大阪市長の思いつきで決めるのだから各候補者に聞いても無駄、ということなのだろうが。橋下氏が好きか嫌いかだけで投票を決めろと、こんな政党は今までなかったのではなかろうか。正直言って、投票しようという人の正気を疑う。橋下氏という人は、今までの行動を見る限り、強い相手とはケンカをしない人。こういう人の主導する政党にかかっては、困難な課題は何一つ進まないだろう。