宮崎駿監督引退

長編アニメーションについて、という条件付きながら宮崎駿氏がアニメの監督からの引退を宣言。ナウシカラピュタは封切りで見た、という世代なので感慨深いものはあるが、近年の『千と千尋』や『ポニョ』が良かったか、というと、諸手をあげて歓迎とは言いにくい。何というか、このへんの作品はもう非人間的なのだ。人間らしい葛藤やら煩悶やらがほとんど出てこない。ポニョが人間になるとか大ごとだと思うのだが、みんなあっさり受け入れてしまう。戸籍はどうするのかとか、学校には行くのかとかとても心配。逆に子どもの頃に見てもう一つ乗れなかったラピュタなんかの方が今は面白く思う。まあラピュタの場合、パズーとシータはあまりにも理想化された少年少女なので、現実の子どもだった自分と引き比べて受け入れにくい部分があった、というのは今にしてみればよく分かる話。大人になってしまうとそういう部分はどうでも良くなってくるのだが。
ともあれ、宮崎駿監督にはお疲れさまでした。高校時代に夜中に友人たちと、劇場でリバイバル上映された『カリオストロの城』を見に行ったことなど思い出して、いろいろと懐かしい気持ちになりました。ナウシカを見て帰った時に、家で筋子のおにぎりを食べたこととか、トトロの形をしたビラを部屋に飾っていたこととか。ジブリの30年は私が人となってからの歩みと重なっていたのだと、改めて思います。