舛添さん、やめないで

舛添要一東京都知事の評判がすこぶる悪い。いわく、出張が豪勢すぎるの、公費で私的な旅行や飲食代を払っているだの、公用車の使い方が怪しいだの。
正直言って、舛添氏というのはこすっからい人だと少なくとも都知事選の段階では思っていたし、票を入れるわけもなかったが、こうしたことで辞めてほしくはない。もちろん個人事業主めいた公私混同は良くない。身を慎めと言いたいし、税金なめるな、納税者を甘く見るなと言いたい。
しかしそれでもなお、今回の騒動を見るに付け思うのは、猪瀬直樹都知事の辞任時と同様、既成の政界は成り上がり者には冷たいということ。今回の件は甘利明・前なんとか大臣の事件の隠れみのにされているという説も根強い。舛添氏の無節操な公私混同をもってしても、あっせん収賄の札束を事務所で懐に収めた人の方が罪がない、とはとても思えない。
第一、舛添氏の件にしても、世間は石原慎太郎都知事の時には何にも言わなかったのではないか。週2日しか都庁に出ない殿様のような元都知事は、趣味で作った新銀行東京で1000億円をドブに捨てた(出資金のうち855億円が毀損。残りも回収できるかは分からず、なお400億円を追加出資している)。あれだけひどいものを見た後では、舛添氏の単にセコいごまかしくらい、何とも思わないのだが。まあ、セコいということ自体が良くないのかもしれない。嫌われやすい条件をいろいろ備えているのだろうか。
しかしまあ、本当に都知事選の度にろくなことがないので辞職は勘弁してほしい。舛添氏は少なくともイデオロギー的に偏向はしていないし、若い娘に米兵相手の売春をさせろとかも言わない。それだけでも功徳とすべきではないか。いま都知事選をやったところで、もっとひどい人が当選する確率は、相当程度に高いと思われてならないのだ。