琳派

国立近代美術館の企画展「琳派」を見てきました(http://www.momat.go.jp/Honkan/RIMPA/index.html)。以前「淋派」と書いたゲラを見たことがありますが、それじゃあ悪い病気持ちみたいな。「琳派」です。王偏です。
驚いたのは、平日の午後という時間帯にもかかわらず会場が込んでいたこと。このまえ行った「ボディ・ノスタルジア」は同様の時間帯でもがらっがらだったのに。クリムト「裸の真実」なんかをちらしなどにも載せたので、日本画好き以外をも呼び込んだのでしょう。この企画の売りは、琳派を近代にまでつなげ、さらには世界へ開く──という点のはずですから(だから近代美術館で琳派なのだそうです)。確かにクリムトは、金ぴかという点では通じるものがありますしねー。
しかしまあ、何といっても金ぴか銀ぴかでありました。江戸時代の画家さんたちはよくも金紙銀紙の上に絵を描いたものです。今でこそ金色も錆びて渋い感じも漂わせていますが、描き上げた当時の光彩陸離たるありさまは推して知るべしでしょう。「風神雷神図屏風」(展示されていたのは宗達の模写の光琳のもの)なんかがピカピカ光っている部屋って、どんなお宅でございましょう。
個人的に趣味にかなったのは、福本繁樹の「風神雷神」。福本氏は「布象嵌」という、各色に染色された布を細かく刻んではめ込む手法を駆使して一双の屏風を制作。「風神」「雷神」と名付けて「光琳に見せたかった」とおっしゃった、とのこと。その屏風なのですが(http://www.shimijimi13.com/itten.htm で写真が見られます)、面白い。布を並べているのですから厚みは無いのですが、立体視の原理で細かいドットからさまざま模様が立ち上がってくるのです。「風神」「雷神」が見えるんじゃないかと思ってじーっと見ていたのですが、結局そんな意味のあるものは見えなかったのですが、見ていて飽きの来ないこと限りなく、家にこんなんあったら面白かろうなー、としみじみ思わされました。こういう奇妙に不規則で面白いドット絵みたいなものは、CGでは作れそうで作れないのでしょう。芸術万歳。川端龍子の「草炎」(屏風)は上手さに感嘆。黒の絹本に鬱金の絵の具という絶対に失敗できない条件でよく描くものです。加山又造千羽鶴」(これも屏風)は鶴が超反復されていて面白うございました(^^; 光悦や宗達を見て福田美蘭が描いたのかとも一瞬思いましたが。