ベルギー王立美術館展

で、今日の1本目は国立西洋美術館の「ベルギー王立美術館展」。フランドル絵画の本場ですね。お隣のオランダが注目されがちですが、フランドル地方にはベルギーも含まれているわけで、ブリューゲル父子からルーベンスを経て、クノップフ、アンソールらベルギー象徴派からデルヴォーマグリットシュルレアリスムに至る、幅広い絵をカバーした面白い展覧会でした。こういう時系列的な展示を見ていつも思うのは、油絵の技法は17世紀のルーベンス、ヴァン・ダイクあたりで既に申し分ないものになってしまっているということ。少なくとも奇麗に描く、塗るということであれば、後代に付け加えられたものはほとんど無いのではないかと思います。ドラクロワルーベンスを模写した絵が出ていましたが、100年以上後のドラクロワの方が大ざっぱに描いているのですよね。まあ、構図の勉強とかのためでしょうから、奇麗に塗る必要はなかったのだろうとも思いますが。
アンソールによる「黄金の拍車の戦い」(鉛筆画)はとても漫画的な表現でちょっと目を引きました。顔の描き方とか人間の肢体とか、そのまま動かせばストーリー漫画が成立しそうな雰囲気。にもかかわらず漫画が生まれなかったのはヨーロッパにとって残念なことでした。
個人的な趣味ではやはりデルヴォーマグリットが面白うございました。デルヴォーは油絵はペタッと塗りつぶしたような印象がありますが、ざっと描いたラフのような女人の絵がとても良く、絵はがきを購入。マグリットは相変わらずというか、パッと見て面白い絵が出ていました。現代ならイラストレーターの仕事に分類されてしまうかもしれませんが。