うるさい人が多い世間で

育休:広島知事が40分「取得」 第3子と対面
 都道府県知事として初めて「育児休暇」取得を表明していた広島県湯崎英彦知事(45)に26日、第3子となる次男が誕生した。知事は次男と対面するため約40分間公務を離れて「育休」を取得後、公務に戻った。
(中略)特別職の知事には条例上の育児休暇制度はなく、湯崎知事は約1カ月間、長女(4)の幼稚園送迎など必要な時間帯にだけ公務を離れる方針を表明していた。これについて、県に電子メールなどで165件の意見が寄せられた。140件が「中小企業では取りたくても取れない」「危機管理上問題」など否定的な意見で、25件が「知事が見本になるのは良いこと」「一歩を踏み出せない男性へのエールになる」など肯定意見だった。湯崎知事は26日、「育休は遠慮がちに取るべきだという価値観を変えなくてはならない。子育てに優しい社会にしていきたいので、ご理解を」と語った。27日は、長女を迎えに行くために1時間半、公務を離れるほか、午後6時には退庁するという。
(中略)首長の育休取得には、大阪府橋下徹知事(41)が今月21日、「首長が育休を取っても世の中は変わらない。世間を知らなさすぎる。首長は、育休が取れる環境を作った後に取るのが筋」と述べるなど賛否がある。(毎日jpより)

男性の育児休暇取得に皆がもろ手をあげて賛成、というのは今の日本ではむしろウソっぽいことかもしれないので、この程度の反発は自然なのかもしれない。だいたい、何にせよケチをつける人間の方が声が大きいものだし。知事にはぜひ、こういう反対があっても男性は育児休暇を取らなければならないのだということを、身をもって示してほしい。
ぜんたい父親には、母親を孤立させないという使命がある。今のように、ご近所やら親戚やらの緩やかなサポートが期待できない時代においては、その使命の大なること、過去の父親の役割に比すべくもない。そこで父親が、たとえ1週間であろうと、あるいはこの広島県知事のように、日々30分やら1時間であろうと、あえて妻のために時間を作るというのは、パートナーを「孤立させない」というメッセージとして、非常に有効なのではなかろうか。実際のこととして、子どもと過ごす時間が一番長いのは母親になるのは仕方ないが、少なくとも父親は、母親の同志であり続けなければならないし、それを態度で示さねばならない。
ところで橋下徹という、何でも物議を醸すことが結構だと思っているふうの人がいて、また余計なことを言う。大阪府政に関係のない質問をする記者も悪いと思うが。当の橋下知事だって、府庁で子どもをサッカー選手に会わせたとかで問題になったのではなかったか。そのことを責めはしないが、要するに、誰にせよできる形で家族のために何かをしなければならないということ。広島県知事は、自分にできる範囲のこととして、細切れとはいえ育児休暇を選んだのだから、それを責めるべきでもないだろう。
子どもはとっくにおっさんになっているはずの某都知事など、週に2、3日しか登庁しないので問題になったこともあったはず(今はどうか知りませんが)。そんな輩と比べれば、大義名分あっての短縮勤務など、とがめる理由は毫もないと思うのだ。