浜岡停止要請

菅直人首相は6日夜、首相官邸で緊急記者会見し、中部電力浜岡原発静岡県御前崎市)について、現在定期検査中の3号機に加え、稼働中の4、5号機を含むすべての原子炉の運転停止を中部電に要請したことを明らかにした。浜岡原発東海地震の想定震源域に立地しており、地震により重大事故が発生する可能性がある。
菅首相浜岡原発停止要請に対し、全国で最も多い14基の原発が立地する福井県の西川一誠知事は「全国の原発についての基本的姿勢を示さないまま部分的に対応していることは、到底、県民、国民の理解を得られるものではない」と批判するコメントを出した。
自民党石破茂政調会長毎日新聞の取材に「政府の判断は重く受け止める必要があるが、どういう理由で判断に至ったのかを政府は説明する責任がある」と指摘。公明党山口那津男代表も「中部電力静岡県などに根回しした形跡は見受けられず、唐突さがぬぐえない。将来のエネルギー政策の展望を示さず、国民の協力で乗り越えられるというのでは不安だけが残る」と述べ、首相の対応を批判した。(いずれも6日付毎日jp)

良いことだ。他に何か言うことがあるだろうか。
ネットでも言われているように、今の日本で同時に二つの原発事故に対応するのはとても無理。一番危険な浜岡から止めるのは当然だろう。加えて、浜岡に何かあれば、首都圏に決定的な打撃を与える。現時点で首都機能がマヒしてしまったら、震災復興どころではなくなる。
福井県知事の言葉を読んでいて、似たような文句を比較的最近目にしたような気がしたが、思い出した。八ッ場ダムの現地の声と似ているのだ。国のためと言われて地元をずたずたにされ、それでもまず国のためだとダム工事を受け入れてきた住民にとって、ダムを根底から否定する民主党の政策(個人的には妥当だと思うが)は、自分自身を否定するもので、到底受け入れがたかっただろう。
福井も同様。絶対安全で国の役に立つから、と言われて受け入れてきた原発が、今やその安全性も含め、根底から否定されつつある。追い打ちをかけるように浜岡の停止要請だ。それまでの自分の立脚点、というかそれまでの人生そのものを掘り崩すような言動に対しては、防御的な反応が出るのも仕方ないのかもしれない。それはそれとして浜岡は止めねばならないのだが。
ところで今回の菅直人首相の要請について、根回し不足だとか手続き的な不備をあげつらう人がいる。のんき過ぎる。利害調整を言い出したら、何年かかってもにっちもさっちもいかないような話だ。その間に地震が起きたらどうするか。こういうことこそトップダウンでやるべし、という見本のようなケース。しかし今更、浜岡の危険性について四の五の言う人がいるとは思わなかったよ。危険性はいわば常識ではなかったのかな。