TPPが分からない

巷で話題のTPP(環太平洋パートナーシップ協定)。ニュースを読んでもネットを見ても、これぐらい賛否の割れるものも少ない。反対派は参加すればすぐさま日本が乗っ取られるような話をするし、賛成派は参加しなければたちどころに経済が立ちゆかなくなるようなことを言う。どちらが正しいのか全く分からない。

まあ農業に話を絞れば、TPPに参加しようとしまいと、今のままで持続可能だとは正直思えない。TPP参加を弾みにして、10年とか20年とかの期限をもうけて何とか変えていくしかないのかもしれない。
重要だと思うのは2点。
①農地を保全する。食料を生産できる能力を維持することは至上命令
②民間企業に経営をゆだねない。企業は不採算になれば撤退する。一方で家族経営は持続可能とは思えないから、農業法人とかが経営の主体になるだろうか。
農業に対してつれない人は、どうせ4割しか自給できないのならシンガポールみたいに最初からあきらめれば、と言う。とんでもない。だいたい国の大きさが違う。シンガポールはどうやってもムリだからあきらめているのだ。人口規模も違う。万一の際でも、数百万人の国なら国際機関が何とか救援できるかもしれないが、1億人の国は難しい。自助努力は大前提だ。
カロリーベースで4割という自給率をうのみにするのもよろしくない。これはあくまで、現状の飽食状態での数字である。実際に世界中で食糧危機が起き、日本の食料輸入が滞れば、この数字は6割7割ぐらいまでは簡単に跳ね上がる。小麦や肉、油脂の代わりにコメを食べて、廃棄を減らすだけでそれぐらいのことは起きる。潜在的には、日本の食料の自給能力は、昭和40年代とそんなに変わっていないのではないかと思う。
化石燃料頼みの今の日本の農業は国際貿易が機能していることが前提だから、自給しようと頑張るのには意味がないと言う人もいる。一理あるが、今後の世界ではひょっとすると、燃料よりも食料の方が入手困難という事態が起きるかもしれない。備えは必要で、せっかくの耕地をむざと荒廃させるわけにはいかない。
しかしTPP、分かりませんね。参加の方向で政府は動いているが、自民も民主も党内で真っ二つというありさま。対話が成立しない時代になったと実感する。