君が代訴訟:処分取り消し訴訟 「減給以上、慎重に」 最高裁が初判断
 入学式などで日の丸に向かい起立して君が代を斉唱せず懲戒処分を受けた東京都立学校の教職員ら計約170人が処分取り消しなどを求めた計3件の訴訟の上告審判決で、最高裁第1小法廷(金築誠志裁判長)は16日、「減給や停職には過去の処分歴や本人の態度に照らして慎重な考慮が必要」との初判断を示した。その上で、停職の2人のうち1人と減給の1人の処分を取り消す判決を言い渡した。
 ◇大阪の橋下市長「判決研究する」
 一方、維新代表の橋下徹大阪市長は判決について「思想の話じゃない。法令や条例に従うのが公務員で、僕の感覚なら辞めればいいと思う」としたうえで「条例案では、職務命令違反に対する指導研修を明記しており、現時点で見直すつもりはないが、判決については今後研究したい」と話した。(16日毎日jpから切り張り)

法令や条例に従うのが公務員、か。おっしゃりようではあるが、橋下氏の流儀で行けば、外務省の要請を無視して亡命ユダヤ人にビザを発給し続けた杉原千畝なんかも、「人道活動したければ公務員辞めてからにしろ」ということになるのだろうな。極論ではない。普段から権威に妄従することに馴れた人間が、どうしていざという時にまっとうな行動を取れるだろうか。ミルグラム実験にも見るとおり、人間は権威には弱いものなのだ。
べつに、ことさらに君が代を歌うなと言うのではない。君が代反対を子どもに強制する教師がいるなら、それはやはり問題だろう。ただ、お上の言うことであろうと何から何まで正しいわけではないし、場合によっては、従わなければならない立場の人間でも不服従を示すことができるのだということを、子どもらに何らかの形で見せておくことは、私たちの社会を多様にし豊かにすると思うのだが。「どうしてあの先生は立って歌わなかったのか」ということを子どもらに考えさせるのは、長い目で見れば国にとっても損なことにはならないはずだ。