機能不全? 本領発揮?

日本の政治は機能不全に陥っていると言われるが、現状を見る限り、そもそもの仕組みはよくできていると感じないわけにはいかない。何の仕組みかといえば、権力の集中を防ぐ仕組みだ。首相は国会議員でなければならず、必然的に与党の支持が必要だが、議会といえばほぼ同等の力を持つ2院があり、それぞれ選挙制度がだいぶ違ううえ選挙時期がずれるため、多数派の党が両院で異なる可能性は高くなる。
こういう仕組みは本当のところ、主権者たる国民、その選良たるべき政治家のいずれをも信用できない人間にとっては都合がいい面もあるのだ。こういう連中に何かを決められてしまうこと自体我慢ならない、という場合には、何も決まらない仕組みの方が安心して見ていられる。
もっとも、前提としては官僚組織が優秀でなければならないのだが、最近はそうでもないようで。どんな組織も時間がたてば駄目になるのは必然だ。改革は公務員改革から始める、というのは国でも地方でもあながち間違いではないかもしれない。しかし、改革するならむしろ、大事な仕事を任せて待遇は良くしなければ駄目。実業界や学界よりも、官界が魅力ある場所だと思わせなければ、人材なんて集まるわけないのだから。その点で今のような、公務員を既得権益層と見なしてつるし上げるような改革は、結局のところ角を矯めて牛を殺すことになるのではないかしらん。