財界と原発

経済界が原子力発電の活用を要請しているという記事を読んだ(4日付毎日新聞)。しかし経団連の提言を読んでも、今ひとつピンとこない。コスト高や大規模停電を忌避する、というのが柱なのか。政府の成長目標の不整合に関する指摘などはただの揚げ足取り。
財界の提言に説得力が弱いのは、何とかして良い子ぶりたいというポーズが見え隠れするから。産業の空洞化が進みますよ、国民の皆さんが困りますよ、私たちのせいではないですよ、と。いやらしい。儲けたいなら、あるいは損するのが嫌なら、堂々と金儲けの論陣を張ればよいのに。とりあえず目先の銭を稼ぐのが営利企業だ。公共財のふりをするから見苦しくなる。
企業が公共財でないとは言わない。ただ時間の流れにおいて考えると、きわめてタイムスパンの短い財だ。1年単位で利益を出さねばならない。数年単位でしか経営計画を立てられない。数十年先には在るかどうかも分からない。国土や自然環境が百年から数千年単位の流れにおいて存在しているのに、企業の物差しでそれらを測ろうとする。話が見当違いになるわけだ。
率直に言って、原発問題で財界の意見を聞く必要は無いと思う。前にも言ったように、国民全体が目先の銭のことしか考えないというのであれば話は別だが。