秀才たちの珍提案

さすがに賢い賢い財務省のお役人方は考えることが違う。消費税の負担軽減策として、マイナンバーカードをポイントカードの代わりに使うとの案。税率を10%に引き上げた後、食料品については2%分をポイントとして還付するという。食品を買いに行くたびに、コンビニでもスーパーでも「マイナンバーカードはお持ちですか?」とやられるわけだ。消費の落ち込みがきつくなったら「ポイント2倍セール」とかで消費を喚起するわけですね、わかります。
いや、わからん。だいたい上限が1人当たり4000円って。その程度の金額が本当に消費税の逆進性の緩和になるなどとは、誰も考えていないはずだし誰も喜びもしない。何百億円もかけてカードリーダーの端末を普及させてシステムを開発して、あげくに誰もが喜ばない仕組みを導入するとは、さすがはお利口さん集団。考えることが違う。
いや、この通りまるで冗談のような案なのだが、実際に冗談なのではないかと思う。かくもバカげた案でなければ軽減税率は導入できないかのように見せることで、軽減税率という仕組みそのものをおとしめるのが財務省のアイデアなのではないか。これだったら給付付き税額控除の方がまだマシだ、軽減税率などやめましょう、と言わせたいのではないのか。
でも還付金はうまくいかない。なぜか。人間はもらう喜びよりも払う痛みの方を余計に感じるからだ。税の苦痛を和らげ消費の落ち込みを防ぎたいなら、最初から税を課さないのが一番。後から金をばらまいたとしても、大して感謝もされないし消費を刺激することもない。潔く、食品の税率は5%程度にしてもう金輪際上げないと約束するのがよい。消費税率が10%で終わるなどとは、政府の側もこちらにしても考えてはいない。今後の増税を受け入れやすいものにしたいなら、税が手を出さない領域というのをはっきりさせておく方がいい。