硝子体手術を受ける(3)

術前の管理

手術のことはとりあえず書いてしまったので、その前後のことを。

手術の前日、午前10時半に入院。新型コロナのご時世なので、付き添いの妻は病棟のラウンジまで。入院前の診察を受けている間に、妻が入院の手続きをしてくれていた。入院の3日前にコロナのスクリーニング検査を受けたのも当世風か。これは入院の前日に結果が伝えられ、陰性で済んでいたのは助かった。入院延期などとなったら、仕事の都合をつけるのがまた大変なので。

診察と手続きが済んだら入院だが、特にすることがない。とりあえず昼食となったが、この日は二の丑だったようで昼食にうな丼が出たのには驚いた。もちろん店で食べるようなものではないけれど、ここでウナギを出してくれようという、食事を提供する側の気持ちがうれしい。食事は終始、手間がかかった、食べやすい味付けのものが提供されていた。何百人分の食事を一気に作るのは大変だろうに、ありがたいこと。

手術前の点眼などあるのかな、とは思ったが特筆するほどのものではなかった。体温と血圧は時間をおいて看護師さんが計測に来てくれたが、それだけ。ほかには外来でOCT(網膜の断層撮影)をとったぐらいだが、これも普段の診察で受けていることなので特別な感じは全くない。

黄斑円孔発見のきっかけ

そもそも15年前にぶどう膜炎をやってから、定期的に検査を受けていることが今回の黄斑円孔の発見のきっかけになったことは間違いない。ぶどう膜炎発症時にはベーチェット病の疑いもあって割と頻繁に通院していたが、その後まったく落ち着いてしまい、昨年までは年に3回程度通っては検査を受けるのがルーティンになっていた。

しかし今年に入ってから自身でも右目の視力の低下に気づき、ドクターが交代したこともあって、受診回数がちょっと増えていたのだった。6月まではそれで済んでいたが、7月の初めになって右目の視界の市や中心部がはっきりゆがんでいるのに気づく。加齢黄斑変性のチェックシートを見ると見本のようにゆがんで見えるので、これはもう黄斑変性が始まったか、と思い定期検査の予約をくり上げて診てもらったところ、あにはからんや、OCTには黄斑部の穴がはっきりと映し出されていた。

「自然治癒はしないから、手術しか治療法はない」と言われ、その場で受けることを決めた。左目もぶどう膜炎以来の視野欠損がひどいのに、右目(これも元々視野欠損ありだが)も使えなくなったのでは、現在の仕事からすると、おまんまの食い上げになってしまう。受診前の時点では手術のことなど全く念頭になかったが、受けることにためらいは感じなかった。勤務の調整の都合上、「今ならまだ8月の勤務をやりくりすれば手術は受けられる」という算段が先に立って気がせいたのも確かだろう。正直なところ、怖いとか嫌だとか思っている余裕がなかったのだった。

手術前夜

話が前後するが、手術の前日の様子に戻ると、これは単にヒマだった。手術後は病棟から出られないと聞いたので、院内のコンビニに行って必要なもの(箱ティッシュ、水の1リットルボトル×2、おやつなど)を買うぐらいしか用事はない。病室は数千円の差額ベッド代を払ったので、4人部屋だが広く、スペースはそれなりに独立性があった。ベッドサイドのテレビの棚に冷蔵庫もついており、水やお茶を冷やしておけるのはありがたかった。他にロッカーと小さな机・椅子もあり、個人的にはこれで十分。欲をいえばWi-fiが欲しかったが、これはラウンジに行けば使うことができた。

この日あったことは、他は点眼の指導ぐらい。夕飯もありがたくいただき、シャワーも使わせてもらい(手術後には洗髪できないと聞いていたし)、ほかはスマホiPadで時間を潰す。こんなにのんびりしたのはいつ以来か分からないくらい、のんびり過ごして手術前夜は消灯の時間を迎えることになった。(たぶん続きます)